仙台高等裁判所 昭和46年(ラ)40号 決定
〔主文〕本件抗告をいずれも棄却する。
抗告費用は抗告人らの負担とする。
〔理由〕抗告代理人は、「原審判を取り消し、抗告人らの氏を吉野と変更することを許可する。」との裁判を求め、その理由として、別紙抗告理由書記載<略>のとおり主張した。
当裁判所も抗告人らの本件氏の変更許可の申立は、いずれも理由がなく棄却すべきものと判断するところ、その事実上の認定並びに法律上の判断は、左記の点を附加するほかは、原審判の理由摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
抗告人杉本浩治が亡吉野信之助の長男であることからみて、抗告人ら夫婦がその信ずる信仰により抗告人浩治の父方の祖先の祭祀を主宰したいとする心情は、もつともなことと考えられる。しかしながら、祖先の祭祀の権利承継者となるには必ずしも被相続人と氏を同じくすることを要しないのであつて、抗告人杉本浩治が、父方の祭祀を承継するために、その戸籍上の氏を「吉野」に変更しなければ重大な支障があるものとは考えられない。また、抗告人浩治が、亡父信之助の創設にかかる株式会社吉野屋(○○営業)の経営に参画するために、亡父と氏を同じくすることが株主の支持を得るうえで所論のように便利な実情にあるにせよ、その氏の変更を遂げなければ右抗告人に重大な支障をきたすものとは考えられない。
そうすると、抗告人らの本件許可の申立を却下した原審判は相当であり、本件抗告はいずれも理由がないからこれを棄却し、抗告費用を抗告人らに負担させることとし、主文のとおり決定する。
(兼築義春 井田友吉 桜井敏雄)